国土交通省、保安基準の一部改正でカメラを使用した「ミラーレス車」の解禁へ。
近年発売されたクルマには、駐車時など後退の安全確認に便利な「バックモニター」や、どうしてもミラーに捉えきれない角度である死角を映す「ブラインドスポットモニター」(トヨタ・プリウスなど)、そして接触を注意喚起する様々なレーダーやセンサーなどが装備されている事が多くなってきました。
【2016年1月に公開されたBMW i8 ミラーレス】
そんな中で国土交通省は、バックミラーに変わって装備される「電子ミラー」を認可する基準を整備すると発表しました。 「カメラモニタリングシステム」の保安基準を定め、認可するための保安基準改正となります。
カメラモニタリングシステムの該当箇所
「サイドミラー」と「バックミラー」のカメラ化
バックミラーに当たる部分としては、クルマの左右前方扉に設置されている「サイドミラー」と室内フロントガラス中央部に設置されている「ルームミラー」が該当します。
この「サイドミラー」と「ルームミラー」をカメラに変えてもいいですよという、ちょっと未来を感じるシステムへの変更が正式に国から認められるという事になります。
こちらが正式に法改正されれば、メーカーは最初からミラーの代わりにカメラが備え付けられたクルマを設計・製造・販売しても可能になります。
日本の自動車局は世界の自動車安全基準と国際的に整合を取りながら、常に拡充と強化をしています。
世界的にカメラをミラーの代わりにしても良いという基準になってくれば、輸入車との兼ね合いや国内メーカーの海外への輸出など、様々な要因に合わせる必要があるのだと考えます。
「ミラーレス車」の解禁時期について
この新しい基準に関しては、新型車は2019年6月18日から、継続生産車は2021年6月18日から適用されます。
2019年以降の新型車はミラーが車体から出っ張らないカメラ装着者が一気に市場に投入されるかもしれません。
現状のミラーが抱える危険性とカメラ化のメリット
現在のミラーは駐車時などに隣のクルマとぶつからないようにその都度折りたたんだり、走行中でもすり抜けてきたバイクに接触したりと、外的要因に関しての接触の危険性があります。
それが小型化する事で、このような接触事故が格段に減る事が期待できるのかなと思います。
またある程度広角に視野角を取ながらセンサーを内臓し、今まで物理的にどうしようもなかったブラインドスポット(死角)を無くすような工夫も凝らされるのではないでしょうか。
カメラモニタリング化された場合のデメリット
そして逆を言うと、モニターという電子デバイスである以上、割れない限り永久的に映してくれる鏡とは違い、思いもしないタイミングでの故障の可能性が捨てきれません。
ここをどういった形でフォローしてくるのか、現段階ではカメラが映らなくなった場合の対処法についての明記がないのが気になります。
あとはモニターである以上、現実と比べての「遅延・タイムラグ」があるのかどうか、「悪天候時の性能確保」はどうなのか、カメラを複数台設置する事による「車両価格の高騰」などのデメリットの部分も少なからずあると思います。
まとめ
自動車メーカーとしては、ドライバーの違和感を最小限にするため、設置位置などは現状のミラーと同じ位置への設置が求められる事になるとは言え、物理的な制約であるミラーを小型化できて、エクステリアのデザイン面での自由度が格段に拡がる事を歓迎するのではないでしょうか。
今後はこのようなデメリットへの動向をしっかりと見守り、理解していく必要があると思われます。