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ヒールアンドトゥのやり方ってどうすればいいの?

 

YouTubeでプロのレーシングドライバーのドライビング動画などを見ていると、よく足元のペダル操作のワイプが挿入されていたりします。
その中で、ブレーキペダルを踏んで減速しながら右足のかかとでアクセルを踏んでいる様子が確認できるかと思います。

Photo By wiz kid

あの動作は「ヒール・アンド・トゥ」というドライビングテクニックで、減速のあとに素早く加速体制に移れる技術です。 頭文字Dなどのクルマを題材とした漫画・アニメ作品でもヒール・アンド・トゥの描写は多く、峠やサーキットを走る上で重要(かつカッコイイ)テクニックとして認知されているのではないでしょうか。

どういう理屈の技術なのか

ヒール・アンド・トゥは、ブレーキングとシフトダウンを(ほぼ)同時に行う事によって、動作時間を短縮するためのテクニックです。

車速が出ている状態からコーナーに飛び込む際にブレーキングをしますが、ただブレーキングをするだけではエンジンの回転数が落ち、エンジンが一番パワーを出せる回転数から落ち込む事により、再加速にモタつきが発生します。

つまりブレーキングで車速を落としつつも、エンジンの回転数はパワーバンドをキープしたままシフトダウンし、コーナーを抜けると同時に一番パワーの乗る回転数から加速するという理屈になります。

具体的なやり方は?

  • まずはしっかりと減速します。ここがどれくらいの減速なのかはコーナーによります。
  • 右足でブレーキペダルを踏みながら左足でクラッチを切り、シフトダウンします。
  • 「右足つま先」でブレーキを踏み込んだまま「右足かかと」でアクセルを踏み込んで回転数を上げます。
  • 左足を離してクラッチを繋ぎます。

動作としてはこのような感じですが、このテクニックで一番重要かつ難しいのは、右足かかとでアクセルを踏み込んであおった時の回転数の合わせ方です。 この回転数の合わせ方は各クルマの「変速比」によって違いますので、自分が運転するクルマに合った回転数を何度も練習して体で覚えるのが一番かと思います。

変速比を計算式で考える

一例としてトヨタ86の変速比を挙げますと、

  • 1速 3.626
  • 2速 2.188
  • 3速 1.541
  • 4速 1.213
  • 5速 1.000
  • 6速 0.767
という数値になっています。

この変速比の数値から回転数を求めると、例えば3速から2速に減速するとした場合、 2.188÷1.541となり、約1.41倍という数値が算出されます。

つまり3速から減速して2速に合わせるとした場合、減速した回転数が4500rpmだとすると、その1.41倍なので6345rpmに合わせれば良く、86の最大トルクは205N·m (20.9kgf·m)/6,400-6,600rpmとなりますので、概ね一番パワーの出る回転域で再加速の態勢に移れるという感じになるかと思います。

しかしこれを運転中にメーターを見ながら瞬時に計算できる人などいないと思いますので、結局はどれくらい踏み込んだらスムーズに加速できるかは体感で覚えていくしかないというわけです。

あとは車速から回転数を求める事も出来ますが、どちらにしても計算の通りに操作するのは難しいので、自分のクルマで何度も練習してリズムを覚えましょう。

まとめ

操作自体はブレーキを踏みつつ、かかとでアクセルをブォンとあおってギアを繋ぐ、これによって一番パワーが乗る回転数から素早く加速するという事になりますが、最初のうちはシフトダウンした時にアクセルの踏み込みが足りなくてクラッチを繋いだ時にエンジンブレーキが強烈に効いてしまい車体がガクンとなってしまったりします。

2速から1速にアクセルをあおってシフトダウンする練習は車速が出てなくても可能ですので、自分のクルマに適した回転数を体で覚えられるように練習しましょう。

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