マツダ ロードスターが世界に与えた影響とは。
世界中で愛されているマツダのライトウェイトオープンスポーツカーである「ロードスター」 デビューから今年(2016年現在)で27年目を迎え4代目ND型となったこのクルマのパッケージが世界中のクルマメーカーに与えた影響は計り知れません。
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では一体このクルマがどういった影響を及ぼしたのか、まとめてみたいと思います。
世界中の自動車メーカーが目指したパッケージ
1989年に誕生した初代NA型ユーノス・ロードスター。 このクルマはマツダという自動車メーカーの「スポーツカーへの飽くなき追求」が生み出した傑作です。
ステアリングやアクセルの操作、軽量なボディによる軽快な走りは、マツダが掲げている「人馬一体」が見事に表現されたクルマであると言えます。
このパッケージングをBWMはZ3ロードスター、メルセデスベンツはSLKで後追いしたと言われています。 国内に目を向けてみると、トヨタ MR-Sや軽自動車のスズキ カプチーノなど、ロードスター誕生後に数々のライトウェイトオープンスポーツが生み出されました。
海外市場で売れた初代ロードスター
海外では「MX-5 Miata」という車名で販売され、英国や北米など、海外で大成功を収めたクルマです。 シカゴオートショーで初公開されて以来、今現在まで愛されて続けている理由は決して速さではありません。 この軽快なクルマをドライバーは意のままに操る事が出来る、それが間違いなく一番の魅力でしょう。
このクルマが世界中で愛された事は「世界で最も多く生産された2シーターオープンスポーツカー」としての累計ギネス記録が物語っています。
手頃な価格で購入でき、乗り込めば本格的な走りを見せる。 風を感じながら楽しめるオープンスポーツでこれほどのパフォーマンスを見せたのは、マツダが持つスポーツカーへのスピリットがあったからこそではないかと思います。
そしてなによりこのクルマが後輪駆動車(FR)であった事もスポーツカーとしてロードスターが成り立った重要なファクターだったのではないでしょうか。
このクルマの開発主任は貴島孝雄氏、「FD3S RX-7」やレーシングカーである4ローターエンジンの「787B」を開発したエンジニアとしてマツダファンには知られているエンジニアです。 マツダのスポーツカーへの情熱そのものと言っても過言ではないクルマが生み出された背景には、このような開発者の熱い想いが託されています。
2代目NB型ロードスター
初代は「ユーノス・ロードスター」という名称でしたが、この時初代の販売店であったユーノス店が廃止され、2代目から「マツダ・ロードスター」という名称になりました。
リトラクタブルヘッドライトが軽量化などの理由で廃止されたモデルです。
初代ロードスターはリアウィンドウはビニールスクリーンでしたが、ガラスウィンドウに変更されました。 スマートなボディデザインとパワーを手に入れた2代目には、限定ながらもターボモデルも存在しました。
3代目NC型ロードスター
2代目からボディサイズが拡大され、3ナンバーサイズになった3代目NC型ロードスターは初代NA型を踏襲して復活された曲面的なデザインで、マフラーも2本出しとなり、エンジンはアテンザ・アクセラと共有する2リッター 170psへと拡大されました。
2005年にカー・オブ・ザ・イヤーを受賞し、マツダとしては3度目の受賞になりました。
2006年に海外モデルとして「MX-5 パワーリトラクタブルハードトップ」というネーミングのハードトップクーペもデビュー。 このモデルは開閉時間約12秒という世界最速の電動格納式ハードトップが搭載されました。
そしてなによりロードスターと言えば拘りのハンドリング性能。 ワインディングを走れば意のままに操れてクルマの挙動を感じる事ができ、快感の2文字に尽きるクルマです。
4代目ND型ロードスター
2015年、現在の最新型であるND型ロードスターが発表されました。
マツダが掲げるデザインテーマ「魂動(こどう)」が全面採用され、最新のスカイアクティブエンジンが搭載された、まさに新世代のロードスターです。
低くワイドで、さらに軽量なボディ。2シータースポーツの最大の弱点である積載性も、トランク容量を確保する事で利便性が追求されたパッケージになっています。
海外仕様では2Lエンジンも展開されていますが、日本国内仕様は1.5L 131psのSKYACTIVE-Gエンジンを搭載。 6AT車はアイドリングストップ「i-stop」と、減速エネルギー回生システム「i-ELOOP」という現代の先進テクノロジーが標準装備となりました。
そして何と言っても2シーターオープンFRというアイデンティティが守られ、まさにロードスターというパッケージそのものが進化したモデルとなりました。
2015年には当然のようにカー・オブ・ザ・イヤーを受賞。2014年のデミオに続いて2年連続受賞となります。
どのような試乗評価を見ても「走る・曲がる・止まる」というクルマにおける三原則に素直に応答し、やはり初代からのアイデンティティである人馬一体のハンドリングに高評価が集まっています。
まとめ
初代からずっと、ロードスターはパワーのあるクルマではありません。 それでも運転してこんなに気持ち良く感じるのは何故なのか。
エンジンから聞こえる音、応答性抜群のハンドリング、なによりも感じるオープンの風。 このパッケージそのものがロードスターの全てではないのかと思います。
語りつくせない魅力を持つこのライトウェイトオープンスポーツカーは、機会があれば是非ハンドルを握って体感して欲しい一台です。