フォルクスワーゲン、2016年シーズンでWRC世界ラリー選手権からの撤退を発表。
フォルクスワーゲンは、2013年から参戦していた「WRC世界ラリー選手権からの撤退」を2016年11月2日に発表しました。
フォルクスワーゲンはWRCの活動の中で、ドライバーのセバスチャン・オジエが4連覇を成し遂げるなど、参戦初年度から好成績を残してきた実績があるだけに、WRCに参戦している他メーカーからは悲しみの声が上がっています。
2017年からのフォルクスワーゲン・モータースポーツは、カスタマースポーツ活動に専念するとの事で、WRCでの目覚ましい活躍からの突然の撤退となりました。
フォルクスワーゲンのWRC参戦車両
フォルクスワーゲンがWRCに参戦していた車両は、WRC最高峰ランクの「RC1」クラスに参戦するワールドラリーカー「ポロR WRC」です。
フォルクスワーゲン・モータースポーツが開発したこの「ポロR WRC」は、市販されている「ポロ」をベースとしたラリーカーで、ボディ、エンジンから駆動系、サスペンションに至るまでをラリー専用に特化させたWRカーとなります。
3ドアハッチバックのボディを基にしており、WRCの過酷な環境に耐えながら高い安全性を保つため、ロールケージなどで補強され、大型のフロントバンパーやリアウイングなどは迫力のあるラリーカーそのもの。
1.6L直列4気筒ターボエンジンはラリー用にチューンナップされ、最高出力は315馬力/6250rpm、最大トルクは425Nm/5000rpmを発生させます。
もちろんラリー専用に開発された専用エンジンですが、小排気量から大きなパワーを引き出すというコンセプトそのものは市販車と変わらぬフィロソフィー(哲学)となり、フォルクスワーゲンのクルマに対する考え方は共通化されていると言えます。
フォルクスワーゲンのWRC参戦記録
かつて、1950〜60年代には初代ビートルでのサファリラリーの参戦という歴史から始まり、名車「ゴルフ GTI」のラリー仕様などでも活躍をしていたフォルクスワーゲンの車両。
メーカーとしての本格的な参戦は2011年に発表され、2012年を準備期間とし、2013年シーズンから本格的に参戦しました。
上記の「ポロR WRC」での活躍は目覚ましく、年間13戦のレース中 10戦で勝利を収めるという好成績を残します。
続く2014年シーズン、全13戦中のレースで12勝を挙げ、3年間連続でマニュファクチャラーズ選手権、ドライバーズ選手権、コ・ドライバーズ選手権の3タイトルを制覇します。
2015年シーズンになると専属ドライバー3名が優勝を飾り、まさに向かう所敵なしの破竹の快進撃を挙げた実績があります。
フォルクスワーゲンの大きな失態
2015年の排ガス不正問題
フォルクスワーゲンは2015年、排ガス不正問題が明るみに出て窮地に立たされました。
こちらの問題に対しての詳細は割愛しますが、この問題がフォルクスワーゲンの企業全体としての運営に大きな影響を与え、企業としての信頼回復や利益回復に努めるためのWRC撤退決定なのではないかと推測する事もできるのではないでしょうか。
まとめ
フォルクスワーゲン・モータースポーツは、WRC参戦に関して2022年までの長期参戦プログラムを組み、WRC参戦へのプログラムを延長していました。
そんな中での撤退発表で、モータースポーツ部門の技術者たちは苦渋の思いだったに違いないと想像します。
WRCチャンピオンドライバーのセバスチャン・オジエは引退・移籍などの噂が飛び交っているようです。
一旦撤退を決めたメーカーがレース活動に戻ってくる事は珍しい事ではないと思えますが、フォルクスワーゲンが再びWRCに復帰し、レースを席巻するのを楽しみにしているのは観客である我々だけではなく、ライバルメーカーの想いでもあるようです。